若手放射線科医の皆さん、AmiVoiceって知っていますか?
なんだかわからないけど、デスクトップにあるアイコン、という程度の認識の人が多いんじゃないでしょうか。
AmiVoiceというのは「声で文章が作成できる」音声入力ソフトのことで、喋っているのと変わらない速度で、文章に起こしてくれます。
一昔前の、音声をテープに録音して、専属の人が文字起こしをしていた時代に比べると、雲泥の差ですね。
非常に精度も高く、読影スピードが飛躍的に早くなります。
読むのが遅い、とお悩みの人に是非使ってほしいツールです。
そもそもAmiVoiceって何?
AmiVoiceは株式会社アドバンスト・メディアから販売されており、AI対話、医療、コールセンターなど、様々な用途に合わせたラインナップがありあす。
僕が使っているのは、医療用の中でも放射線科読影レポート向けに作られた、AmiVoice Ex7 Radという製品になります。
単純X線、CT、MRI、核医学などの専門用語が辞書に入っており、細かな疾患名まで認識してくれます。
値段は数十万円とかなり高額になりますが、病院と交渉すれば導入してくれるのではないでしょうか。
個人的には、もし勤務先になかったら自腹を切ってでも導入します。
それほど、日常読影に必需品となっています。
タイピングよりも音声の方が早い!
音声入力の方が、タイピングよりも入力速度は段違いに早いです。
例えば、
肺野に活動性炎症を疑う所見は認めない。
胸部領域のリンパ節に病的腫大は認めない。胸水なし。
肝、胆、膵、脾、副腎、腎に特記所見は認めない。
腹部領域のリンパ節に病的腫大は認めない。腹水なし。
これぐらいの文章なら、15秒もあれば入力できます。
もちろん、タイピングがとても早い人がテンプレートを駆使すれば、同じぐらいの速度はでるでしょう。
ただ、多くの場合、テンプレートはレポート画面にあるため、ビューワーからマウスを動かしてクリックする、という動作が入ります。
AmiVoiceさえあれば、右手にマウス、左手にAmiVoiceという姿勢で、ひたすら読影することが可能です。
辞書登録もできるため、さらに速度を上げることもできます。
AmiVoiceの特徴:音響学習
もともとの精度も高いのですが、ユーザーの音声の特徴を自動で学習することで、さらに精度を上げることができます。
僕は結構滑舌が悪いのですが、音響学習を繰り返すことで、小声でも拾ってくれるようになりました。
また、音響学習は「レベル」で表示されるため、育成ゲームをしているような感覚でも楽しめます。
AmiVoiceを使う上で注意していること
話し言葉(いわゆる口語)になっていないか、は常に注意します。
たとえば、
右肺下葉に浸潤影を認め、気管支内に貯留物を伴っている。
そのため、誤嚥性肺炎と考える。
という文章が、
右肺下葉に浸潤影を認め、気管支内に貯留物を伴っている。
なので、誤嚥性肺炎を疑う。
だと、かなり違和感を感じると思います。
普通に話しているとどうしても話し言葉になりがちですので、意識して書き言葉を話すようにしています。
また、AmiVoiceで入力しながら文章を考えると支離滅裂になってしまうため、一旦頭の中に文章を作ってからしゃべることも大事です。
まとめ
AmiVoiceは読影スピードをあげるために、非常に使えるツールです。
すでに導入されている施設であれば、是非使って下さい。
もし入っていない施設でも、交渉して導入してみて下さい。