画像検査とデバイス

条件付きMRI対応循環器デバイス検査における放射線科医の役割

条件付きMRI対応循環器デバイスが埋め込まれた患者のMRI検査では、診療放射線技師以外にも複数の医療従事者が関わる必要があります。
その中で、僕たち放射線科医の果たす役割は何なのか考えてみました。

条件付きMRI対応循環器デバイスが入った患者さんのMRI検査に関して「人工内耳や神経刺激装置といった電子機器が体内に埋め込まれいると、MRI検査は禁忌」、ということはよく知られていると思います。 た...

放射線科医以外の医療従事者の役割

まず先に、放射線科医以外の医療従事者の役割についてまとめてみます。

循環器内科医

デバイスのMRI検査直前の確認や、検査直後の再設定の確認を行います。

また、MRI検査実施条件では、循環器内科医が検査に立ち会うことが望ましい、とされています。

・関連学会がまとめたMRI対応埋込み型不整脈治療デバイス患者のMRI検査の施設基準及びMRI対応埋込み型不整脈治療デバイス患者のMRI検査実施条件では、『循環器医師』となっており、循環器内科及び心臓血管外科のどちらでも良いとされています。
・ただ、心臓血管外科医がペースメーカー等のデバイスの確認を行うことは現実的ではなく、実臨床では循環器内科医が行っていることがほとんどです。

臨床工学士

MRI検査前に、デバイスの作動状況確認と設定変更を行います。

設定変更にはプログラマと呼ばれる専用機器を使用します(MRI室への持ち込みは現金です)。

検査終了時には、変更した設定をすぐに戻します。

診療放射線技師

デバイスによって決められた設定のもと、MRI検査を行います。

患者さんは、デバイスを埋め込まれると「条件付きMRI対応埋込みデバイスカード」が発行されます。

カードにはメーカー名、デバイスの名称、型番などが記されているため、『不整脈デバイス患者のMRI検査情報サイト』の『MIR対応組合せ検索』に打ち込むと必要な設定がすぐに出てきます。

このカードがなければデバイスの情報が確認できないため、MRI検査を行うことができません。

放射線科医の期待されている役割

先にあげた他の医療職の果たす役割に比べると、実際の検査時に放射線科医が果たす役割は限定的と言えます。

検査前の役割

各学会が定めたMRI検査実施条件には、

a. 検査の適応について
放射線科医(放射線診断専門医あるいはそれに準ずるMRIの経験がある放射線科専門医、常勤・非常勤は問わない)が配置され、MRI検査依頼に関して、そのリスクとベネフィットを検討すること。

参考:MRI対応植込み型不整脈治療デバイス患者のMRI検査実施基準

とされています。

つまり、そもそも患者さんにその検査が本当に必要なのか、CTなどで代用できないのか、などを考え、必要に応じ依頼医と相談することを求められています。

急変時の本当の初期対応

検査中に患者さんが急変した際は循環器内科や救急の先生を呼びますが、検査室の配置上、最も近くに居るのは放射線科医であることが多いと思います。

そのため、本当の初期対応を行う必要があります。

具体的には、患者さんをMRI室の外に出す、ということです。

ICDが入っていてVTを生じた場合、体外式除細動器を使用しなければなりませんが、MRI対応ではありません。

ルート確保、バイタルチェック、薬の投与などにおいても、MRI室内にいては身動きが取りづらいです。

まず、MRI室の外に患者さんを運び出すことが何よりも重要です。

放射線科医は放射線部も兼任していることが多いため、体外式除細動器をMRI室の近くに準備するなど、検査室の状況を整えることも大事です。

施設認定基準を満たす

施設認定基準を満たすためには、放射線科医の存在は必ず必要です。

医局人事では数年単位で目まぐるしく移動するため、受講した先生が居なくなる、という事態も考えられます。

受講内容もよくまとまっているため、在籍している放射線科医は全員研修を受けるという体勢でも良いと思います。

まとめ

MRI検査の実施基準で放射線科医は非常勤でも可、とされており、他の医療従事者に比べると実際の検査時に果たす役割はやや弱いです。

けれど、本当の急変時の初期対応の他、体外式除細動器の準備、そもそも検査を行うための施設認定基準に入っているなど、検査の環境を整える、という意味での役割があると思っています。