MRIの基本とポイント

MRI検査時の注意点:カラーコンタクト、マスカラ、アートメイク、指輪

今回は、MRI検査で問題になる美容系の異物、についてまとめました。

老若男女問わず、何かしらの美容系のものを身につけていることは多いです。
放射線科医をしていると、仲の良い他科の先生や診療放射線技師さんから聞かれることも多いです。

知っておいて損はない知識ですので、参考にしてみて下さい。

条件付きMRI対応循環器デバイスが入った患者さんのMRI検査に関して「人工内耳や神経刺激装置といった電子機器が体内に埋め込まれいると、MRI検査は禁忌」、ということはよく知られていると思います。 た...

カラーコンタクトレンズ

カラーコンタクトレンズは、MRI検査は禁忌です。必ず外してもらいます。

カラーコンタクトレンズを付けてMRI検査を受けたところ、眼瞼痙攣や眼球が惹かれるような感覚を覚えた、という患者さんの訴えが過去にありました。

日本画像医療工業会などが検証を行い、現在のところMRI検査ではカラーコンタクトは禁忌とされています。

実際、カラーコンタクトレンズの添付文書では、禁忌・禁止の項目に『MRI検査を受ける際にはレンズをはずすこと』と記載されています。

カラーコンタクトレンズの着色料に金属が含まれているためです。

また、一般的にイメージされるカラフルなカラーコンタクトレンズ以外に、若い女性の中には瞳を大きく見せる「黒い」コンタクトレンズを付けている人もいます。

ぱっと見ただけではわからないので、本人に聞くのが確実です。

(普通の)コンタクトレンズ

多くの医療機関では、MRI検査時に普通のコンタクトレンズも外すよう指導しています。

通常のコンタクトレンズには磁性体は含まれていないため、発熱などの危険性は基本的に無いと考えられています。

ただ、MRI検査は一般的に時間が長く、特に心臓MRI検査では40~50分かかることもあります。

その間、ずっと目を開けているのも辛いのか、多くの患者さんは次第に目をつぶって過ごしています。

瞬きをしないと、細かな異物によりレンズや眼内を傷つけることがあります。

睡眠時にコンタクトレンズは外すことが推奨されているように、MRI検査時にも外した方が良いと個人的には考えます。

ただ、カラーコンタクトのように禁忌ではないため、保存容器がない場合など、患者さんに説明した上で検査を行うこともあります。

マスカラ、つけまつ毛、アイシャドウ

マスカラ、つけまつ毛、アイシャドウの多くに、着色料として酸化鉄が使用されています。

カラーコンタクトと同じです。

特に海外製の化粧品には重金属が使用されているものもあります。

目や顔に直接接しているため、患者さんの安全性という点からは、MRI検査前に取ることが推奨されます。

ちなみに、複数人の放射線科の先生や診療放射線技師さんに伺いましたが、マスカラやつけまつ毛が原因で頭部MRI検査時にアーチファクトを生じたという経験はありませんでした。

眉のアートメイク

若い女性に多い眉のアートメイク(タトゥー、入れ墨)も、できればMRI検査は避けたほうが良いです。

着色料に金属が含まれていることがあり、実際に火傷を生じたという報告もあります。

ただ、カラーコンタクトやマスカラなどと異なり、その場で除去することができません。

そのため、実際には患者さんに発熱の危険性を説明し、納得してもらった上で検査を行うケースが多いです。

手にボタンを渡し、熱を感じたらすぐに押すように説明しています。

歯科矯正

歯列矯正を行っていると、歯牙にブラケットやワイヤーといった歯列矯正装置を装着します。

さまざまな金属でできており、必然的に頭部MRIで強いアーチファクトを生じます。

特に前頭蓋底や副鼻腔は評価できないことが多いです。

ただ、これらも任意で取り外しできないため、アーチファクトは承知の上で検査を行います。

不思議なことですが、歯列矯正装置で発熱を生じたという報告は僕が調べた限りでは見つからず、自験例でもありません。

もしご存知の方がいたら、ぜひ教えて下さい。

入れ墨

これも『眉のアートメイク(入れ墨)』と同じく、発熱することがあります。

背中に広く入れ墨がある患者さんで、検査後に広範囲に火傷を生じた、という症例報告を聞いたことがあります。

取り外せれないため、患者さんに説明の上で検査を行うことが多いです。

使われている金属の量の問題なのか、診断に困るほどのアーチファクトを生じた経験はありません。

指輪

指輪も金属が使われているため、MRI検査時には外してもらいます。

ただ、人によっては指の大きさの関係で、指輪が外せない人もいます。

そうした場合、指輪に使われている材質に注目します。

・金、銀、ダイヤモンドは反磁性体のため、特に問題ありません。

・プラチナは常磁性体ですが反磁性体に近いため、問題になることはほぼありません。

・鉄は強磁性体のため、危険です。

高い指輪ほど大丈夫です。

まとめ

『MRI検査で問題になることが多い異物』についてまとめました。

特に女性のアートメイクなどは依頼医も気づかないことが多いため、検査前の確認がとても重要です。

何かのお役に立てたら幸いです。

参考)
MRI集中講習~MRI専門技術者認定試験にチャレンジするためのテキスト~. 三恵社
MRI安全性の考え方 第2版. 秀潤社
MRI検査のリスクマネージメント 第二弾

MRI検査時の発熱:ヒートテックを着てはいけない理由MRI検査を受けると、一定数の患者さんは『暖かく感じた』という感想を言います。 これは基本的に必発で、MRI検査を受けると程度に差...