MRIの基本とポイント

知っておくべきCT・MRI検査の保険点数:具体的な病院収益と患者負担金額はいくら

画像検査の値段ってみなさん知っているでしょうか?

診療報酬や保険点数という言葉は知っていても、
実際にCT検査が造影に変更になると診療報酬はいくら増えるのか、
患者さんの負担はいくら増えるのか、
ということを知らない放射線科医が多いと思います。

実際僕もその1人でした。

細かな数字まで知っておく必要はありません。
ですが、放射線科医は放射線部と重なることが多く、将来的に自然と部門の売上を意識することが多いです。
病院によっては自分の給料にも関わってもきますので、ざっとでも目を通して損はない知識です。

一番多く読影するだろうCT・MRI検査の保険点数や仕組みについて、非常に簡単ですがまとめました。
ぜひご覧ください。

・画像検査に関わる保険点数のうち、CTとMRIに関わる部分を抜粋して紹介しています。
・記載できていない加算があり、また加算には必ず『施設基準』を満たす必要があります。
・詳細は厚生労働省ホームページなどをあたって下さい。

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知っておいたほうが良い医療費のポイント

1回の検査の保険点数は決まっている

CTもMRIも1回の検査につき何点と決まっています
撮影範囲やスライス数(シンスライスで再構成したか)では変化しません。
胸部単純CT検査の点数も、胸腹部単純CT検査の点数も同じです。

同じ日に検査した場合、2回目は8割か0円になる

同じ日に行った検査の種類よって異なります。

同じ日にCT検査を2回行った場合、1回分しか請求できません。
同じ日にMRI検査とCT検査を行った場合、どちらかは80%しか請求できません。

例えば、腹部単純CT検査をまず行い、
肝臓に腫瘤があったため同じ日に腹部造影CT検査を行うと、どちらか1回分しか保険請求できません。

加算も患者さん負担になる

CT検査やMRI検査では、検査自体の点数以外に『加算』という仕組みがあります。

例えば造影CT検査を行うと+500点、
画像診断管理加算2をとっている施設であれば+180点、
と積み上がっていきます。

これらも3割は患者さん負担になります。

患者さん負担金額は保険点数を3倍すればよい

保険点数1点は10円に相当します。
6歳~70歳までの人は、医療費は3割負担に該当します。
そのため点数の合計を3倍すると、多くの患者さんが負担する金額になります。
(10×0.3=3。6歳未満や70歳以上を除く)

2018年3月当時の奈良県知事が地域別診療報酬制度にのっとり、将来的に保険点数を1点=9円に引き下げると表明しました。
奈良県医師会などと話し合いが行われ、2018年12月末に奈良県知事は保険点数引き下げを凍結する協定を、奈良県医師会と締結しました。

CT検査の基本点数

検査の種類 保険点数
64列以上のマルチスライス型
共同利用施設で実施 1020点
その他 1000点
16列以上64列未満のマルチスライス型 900点
4列以上16列未満のマルチスライス型 750点
上記以外 560点
脳槽CT撮影(造影を含む) 2300点

 

CT検査の加算

加算の種類 保険点数
造影剤使用 500点
冠動脈CT撮影加算 600点
外傷全身CT加算 800点
大腸CT撮影加算
64列以上のマルチスライス型 620点
16列以上64列未満のマルチスライス型 500点

 

MRI検査の基本点数

検査の種類 保険点数
3テスラ以上
共同利用施設で実施 1620点
その他 1600点
1.5テスラ以上3テスラ未満 1330点
上記以外 900点

 

MRI検査の加算

加算の種類 保険点数
造影剤使用 250点
心臓MRI撮影加算 400点
乳房MRI撮影加算 100点
小児鎮静下MRI撮影加算 +80%
頭部MRI撮影加算 100点

 

CT・MRI検査に共通する加算

画像診断管理加算

画像診断管理加算には1~3まであり、それぞれ月1回、
画像診断管理加算1:70点
画像診断管理加算2:180点
画像診断管理加算3:300点
が加算できます。

画像診断管理加算2から、施設基準に『当該保険医療機関内に画像診断を専ら担当する常勤の医師が配置されていること』という1文が加わり、放射線診断専門医資格が必要となります。

この基準の関係で、過去には遠隔画像診断で管理加算2をとっていた施設が加算を取れなくなる、という事態が起きました。
また春や秋の日本医学放射線学会で、放射線科医がスタンプラリーを行う原因です。

コンピューター断層診断

CT検査やMRI検査を実施するだけで算定でき、月1回450点です。
RI検査やPET検査では算定できません。

電子管理加算

撮影した画像を電子化して管理及び保存した場合に、120点加算できます。
つまり、フィルムではなくPACSで管理していれば良い、ということです。

具体的にいくらの負担になるのか

例を挙げて説明します。
外来を腹痛で受診し、腹部造影CT検査が行われた患者さんがいたとします。
中規模病院でCT装置は共通使用していない、常勤の放射線診断専門医がおり画像診断管理加算2を算定している、と仮定します。

その場合、

検査ないし加算の種類 保険点数
CT検査 1000点
造影検査 500点
画像診断管理加算2 180点
コンピューター断層診断 450点
電子管理加算 120点
合計 1750点

17500円の検査で、患者さんの窓口負担は5250円です。

この金額が高いとも低いともつもりはありません。
ですが、患者さんが5250円払う検査と考えると、もっと良い画像を撮影ししっかりレポートを書こうという気になるかもしれません。
病院の収入が17500円と考えると、もっと費用を抑えるにはどうすればよいか、と考えるかもしれません。
放射線科医として、知っておくべき知識だと思います。

まとめ

一番多く読影するCT検査とMRI検査の保険点数について、まとめました。
恥ずかしながら、僕自身よく知らずに読影をしていました。
別に専門医試験には出ませんが、知っていると普段の業務にちょっと違う意識を向けられるかもしれません。
なにかのお役に立てたら幸いです。