MRIの基本とポイント

MRI検査ができない、向いていないのはどんな人?

放射線科医をしていると、「この人MRI検査可能でしょうか」という相談を、医者や診療放射線技師さんから受けることがあります。

目的によってMRI検査のシーケンスを考えるのは大事ですが、その前にMRI検査が可能な人か、そもそもMRI検査室に入ることができるのか、という視点はとても大切です。

MRI検査は高価ですし、せっかくの検査枠ですので、直前にキャンセルということはなるべく避けたいです。

注意点として、

安静が保てない人
閉所恐怖症の人
重症度の高い患者
磁場酔いがある人

は、MRI検査が難しいか、何か対応が必要となります。

それぞれ解説していきます。

安静が保てない人

検査の間じっとして入れない人、つまり安静が保てない人は、MRI検査を受けることができません。

例え検査を行ったとしても、動きによるアーチファクト(motion artifact)が生じてしまい、画像が乱れてしまいます。

MRIのシーケンス撮像に時間がかかる

CT検査の動脈相や後期相と同じように、MRI検査では1WIやT2WIといったシーケンスごとに撮像していきます。

ただ、CTと異なるのは1つのシーケンスを撮像するのにとても時間がかかるということです。

CTであれば、胸部~骨盤部まで15秒程度(早い撮影法であれば2秒程度)で撮影が終わります。

それに対し、MRIでは1つのシーケンスに2~3分程度必要となります。
この間は画像をずっと撮り続けているため、患者さんは動かず安静にしておかないといけません。

もし動いてしまうとアーチファクトが生じ、よくわからない画像となってしまいます。

よく診療放射線技師さんが、「動かないで」、とマイクで言っていますが、そのためです。

MRIでは複数のシーケンスを撮像する

部位や目的によって異なりますが、MRIでは複数のシーケンスを撮像します。

シーケンスによって必要な時間も異なりますが、

『シーケンスごとの時間 × シーケンスの数 = MRI検査時間』

という認識です。

1つのMRI検査で30分程度かかることはよくあり、最も頻度の高い頭部MRI検査では、MRAも合わせて15分~20分ほどです。

もし安静が保てなければ、撮像するシーケンスを絞るなどの対応が必要となります。

閉所恐怖症の人

閉所恐怖症の人も、MRI検査はとても難しいです。

CT装置は奥行きが比較的短く、撮影時間も短いため、閉所恐怖症の人でも検査は問題なく行えます。

それに対し、MRIは奥行きが長く、ガントリ内にすっぽりと入って検査します。

MRI装置のガントリの患者さんが入る開口部のサイズは、メーカーによって異なりますがおおよそ60~70cm程度です。

身体の中心と装置の中心を合わせるため半分として、装置の壁まで約30cmしかありません。

約30cmと聞くと比較的広いように感じるかもしれませんが、顔のサイズも考えると目から22cm程度です。

一度定規で測って、壁と22cmのところに立ってみて下さい。

自分で思っている以上に近く感じるはずです。

そして、1辺だけでなく360°その距離に壁が広がっています。

僕も入ったことがありますが、圧迫感は相当あります。

閉所恐怖症があると、MRI検査を受けることは難しいです。

日常生活ではあまり気づくことがないですが、事前に確認した上で装置に入っても、『やっぱり無理』という患者さんは結構居ます。

重症度の高い患者さん

点滴やAラインなど、ルートや補助装置が多くつながっている人、とも言えます。

MRI装置には巨大な磁石が入っているため、金属類を持ち込むことは厳禁です。

そのため、シリンジポンプやPCPSなど、機械がつながっている患者さんはそもそも検査室内に入ることができません。

ルートを複数繋いで長くするなどの対応が必要となります。

酸素回路はMRI室内にあるため、酸素吸入は検査しながらでも可能です。

ちなみに酸素ボンベの吸着事故は非常に悲惨ですので、注意しましょう。

磁場酔いがある人

磁場酔いとは、磁場の強いところにいると気分が悪くなることです。

細かな病態などははっきりとわかっていませんが、確実に存在します。

医者や臨床検査技師の中にも一定数存在しています。

高磁場の方が発生しやすいと言われていますが、0.5T装置でも発生することがあります。

検査室の外は基本的に磁場が抑えられているのですが、人によっては検査室の外でも気分不良となる人もいます。

こうした患者さんは、MRI検査室内に入ることも難しいため、検査自体行うことができません。

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まとめ

MRI検査を受けることができないのはどんな人か、まとめてみました。

今回は紹介しませでしたが、体内に金属や電子機器(人工内耳など)のある人も、MRI検査には注意が必要です。

種類によって、また何か対処を行うことでMRI検査が可能となることもあるので、別記事で解説します。