ラジエーションハウス

現役放射線科医がラジエーションハウスを徹底解説:細かなリアルがたくさんある

4月8日よりフジテレビで始まった「ラジエーションハウス」は、医師免許を持った診療放射線技師が主人公のドラマです。

放射線科界隈では原作のマンガが始まったときから話題となっていて、「そんな主人公いないだろう!」というツッコミを各所から聞きました。

けれど、非常に絵になる外科と違い、地味な画像検査、そして病院の黒子的な役割をしている放射線技師・放射線科医が題材になったことをとても嬉しく思います。

原作には多くの診療放射線技師や放射線科医が監修として関わっており、僕の知り合いの先生も一部関係しています。

もちろんドラマである以上、ある程度の脚色はありますが、同時にニヤリとするような非常に細かなこだわりも隠れています。

そこで、現役の放射線科医として、そうしたディテールについて解説してみたいと思います。

私服に白衣をはおる

主人公の五十嵐唯織(窪田正孝)が初めて甘春総合病院を訪れた際、ちょうど読影室から出てきた甘春杏(本田翼)と再会します。

このとき杏は、私服に白衣、という装いです。

ここに、僕は非常にリアリティを感じました。

僕たち放射線科医は、私服で病院内を過ごしている事が多いです。

外来も基本的になく、患者さんの前に立つことが非常に少ないからです。

患者さんと相対するのは、CT室やMRI室でのアレルギー対応や、造影剤ルートが難しくて採る時ぐらいです。

普段は私服で読影し、読影室から出る際に白衣をはおります。

そのため、白衣も前ボタンを留めずに、ぶらぶら開けている事が多いです。

逆に、放射線科科長兼診療部長である鏑木安富(浅野和之)のように、シャツにネクタイという人の方が少数派です。

ちなみに、外科や内科でも同じで、シャツ+ネクタイというスタイルは少ないです。

スクラブという半袖で首元がVネックになっている医療用白衣を着て、その上に長袖の白衣を羽織る、という先生の方が多いです。

これは、スクラブは首の横にボタンが付いているため、手術時など着替える際に容易に脱げるからです。

カンファで前に座る

入院していた菊島亨(イッセー尾形)が急変して、他院に転院させるかカンファレンスをするシーン。

放射線科医は杏1人で、他に大勢の他科の先生がいました。

他科とのカンファレンスは実際よくあります。

市中病院では放射線科医は数人のことが多いため、ドラマのようにカンファレンスに出る放射線科医は1人、ということは多いです。

僕は杏が一番前に座っていることに、ニヤリとしました。

人数の関係上、CTやMRIなどの画像の操作は他科の先生が行うことが多く、我々はポインターで画像を示し解説します。

そのため、スクリーンに近い一番前の席に座ることが多いです。

1 VS 多数となるためドラマ的な演出を狙ったのかもしれませんが、実際によくあるシーンです。

余談ですが、このカンファに出席していた他科の先生は10人以上いました。

脳動脈瘤破裂を疑っている話の都合上、出席者は脳神経外科の先生と考えられます。

脳神経外科が10人以上いる施設は、基本的に大学病院のような大規模施設になります。

甘春総合病院は脳神経外科に強い病院のようです。

秒4の6

菊島を血管造影するため、大腿動脈からステントを入れて内頚動脈造影をするシーン。

杏は「秒4の6でセットして」と放射線技師の軒下五郎(浜野謙太)に指示を出します。

この「秒4の6」という言葉の意味は、「造影剤を4ml/秒で合計6ml投与する」という意味です。

造影剤を投与する機械の設定上、投与速度と総投与量を入力すると、投与時間が勝手に決まります。

今回であれば、投与時間は1.5秒になります。

実際の内頚動脈造影でも、「秒4の6」で行うことが多いです。

4ml/秒というとピンとこないかもしれませんが、健康診断で採血する血液が1本5ml程です。

採血管の全量を1秒間で細いカテーテルから注入する、と考えるとかなり勢いよく入れていることが想像できるかと思います。

また、今回は脳動脈瘤破裂を疑っているため、あまり長い時間投与するともろくなっている血管をさらに損傷してしまうことがあります。

そのため、「秒4の6」という短時間で血管造影を行うことが多いです。

ちなみに、内頚動脈よりも手前の太い総頚動脈から造影する際は、6ml/秒で入れたりします。

まとめ

このように、ラジエーションハウスには細かなこだわりを多く感じました。

知っていると、ドラマをより楽しめるかもしれません。

何かのお役に立てたら嬉しいです。