現在の医療において患者さんの診療で画像検査を行わないことはほぼなく、また多種多様な検査が必要となります。
その中で画像検査に関わる診療放射線技師は、現代医療に欠かせない存在です。
まさに、医療における画像検査、放射線治療のスペシャリストです。
主な仕事は、画像検査、放射線治療ですが、病院によっては画像管理や医療機器の管理も行っています。
そこで今回は、診療放射線技師の携わる画像検査について、解説してみました。
僕は総合病院で働く放射線科医ですので、総合病院ではこのような画像検査に関わっている、ということをイメージできるようお伝えしたいと思います。
この記事の目次
診療放射線技師の携わる検査の種類
X線検査、透視検査、CT検査
診療”放射線”技師という名前が示すように、放射線を扱う検査があります。
X線検査(一般撮影)と透視検査、CT検査です。
この中で、CT検査が病院内で最も必要とされている検査です。
世界の中で日本に最も多くのCTが置かれていることは有名です。
そのため、大小問わず多くの病院でCT検査が可能となっています。
得られる情報も多く、検査を依頼する医者側の期待も大きいです。
また、放射線を扱わない検査も行っています。
MRI検査と超音波検査です。
MRI検査
特にMRI検査は、患者さんごとに適切なコイル、適切な設定を行わないと、上手く撮像できません。
設定を間違えると、診断に値しない画像となっています。
細かな数値、設定をしっかり理解するなど、専門的な知識、経験が要求されます。
診療放射線技師の腕に、MRI画像の質は大きく依存しています。
超音波検査
超音波検査も診療放射線技師の仕事の一つです。
ただ、超音波検査自体は法律上、臨床検査技師も施行することが可能です。
病院によってどちらの職種が超音波検査を行うのかは、ばらばらです。
僕が現在いる病院は全て臨床検査技師が行っていますし、前にいた病院では腹部エコーを診療放射線技師が行っていました。
ただ、現在CT検査やMRI検査の数が右肩上がりで伸びています。
この状況はまだまだ続きそうです。
そのため、CT検査などで診療放射線技師が忙しくなり、超音波検査は臨床検査技師が行っている病院が多い印象です。
特殊な検査も行っています
前章で挙げた、X線検査(一般撮影)、CT検査、MRI検査、超音波検査は一般的な検査になります。
おそらく、ほとんどの病院で診療放射線技師は経験すると思います。
ですが、病院によってはその他の検査のニーズがあり、詳しく解説していきます。
術中MRI撮影
手術中にMRI検査を行うことがあり、術中MRIと呼ばれます。
手術室とMRI室を併設して設置する必要があり、大学病院など限られた病院でしか行われていません。
基本的に、脳神経外科の術中に行われます。
全身麻酔で開頭し、脳腫瘍を摘出中に行います。
例えば神経膠腫の場合、再発を防ぐため、可能な限り病変を摘出しなければなりません。
しかし、神経膠腫は肉眼では正常脳実質との境界が非常にわかりにくいです。
そこで、手術中にMRI検査を行い術前画像と対比することで、病変残存を極力減らすことができます。
また、脳実質には運動機能、言語機能などを司る重要な部位があるため、それらの機能を温存するためにも行われます。
術後X線撮影
手術を行う施設では、ほぼ通常的に行われていると思います。
一時、手術後に体内にガーゼなどの医療機器を置き忘れるという問題が話題になりました。
現在では術中にガーゼの数を確認するなどの防止策が行われていますが、術後X線撮影もその一つです。
現在手術時に使われるガーゼには、X線不透過性の糸が縫い付けてあります。
そのため、最後にX線撮影を行い、体内に残存していないか確認します。
手術室専用のポータブルX線装置が使われ、撮影後すぐにフラットパネルからデータを飛ばし、X線画像を確認します。
血管造影検査
IVRを行っている放射線科の他、循環器内科がある病院であればほぼ必ず行っていると思います。
医者がカテーテル操作を行っているのに合わせ、適切な画像を出し、造影剤を注入します。
特に重要なのが被ばく管理です。
血管造影はむやみに放射線を出していると、患者さんの他、医者や看護師を含む医療者の被ばくも多くなってしまいます。
そこで、レートを落としたり絞りを入れたりして、被ばく低減を行っています。
どうしても、医者は検査・治療に集中してしまうため、診療放射線技師の適切なサポートが欠かせません。
まとめ
診療放射線技師の携わる画像検査について、まとめてみました。
何かのお役に立てたら幸いです。