読影レポート

読影レポートに英語はどこまで使うのか問題

今回の記事では、

読影レポートに英語はどこまで使うのか問題

に対する僕なりの考えを解説しようと思います。

読影レポートを書く際は、必ず前回のレポートを確認するようにしています。

先日、こんなレポートを発見しました。

「両肺にold inflammatory changeと考えられるcalcified nodulesや索状影を認めますが、明らかなrecurrent tumor、meta、abnormal LN swellingは認めません」

使われている英語は簡単なものでしたので、一瞬うん?、となったものの、すぐに理解できました。

ただ、2つの疑問が湧いてきました。

そういえば、読影レポートで英語を使用している先生は他にも居た気がする。

英語で書いて、依頼医に伝わりやすいのだろうか?

他の先生のレポートも確認したところ、本文に英語を使用している先生は意外と多かったです。

果たして英語で書く必要があるのだろうか?

先に結論を言うと、

基本的には日本語で書く
使う場合は、相手に通じる用語のみ

とするべきだと思います。

なぜ英語を多用する先生が多いのか?:手書き時代の名残の可能性

読影レポートに英語を多用する先生を、観察してみて下さい。
何か共通点がありませんか?

僕の周りでの偏りかもしれませんが、年数が上の先生が多い印象です。
個人的に、手書きでレポートを書いていた時代の名残じゃないかなー、と思っています。

現在の職場はパソコンで読影レポートを打っていますが、過去に手書きの施設に外勤に行っていたことがあります。

正直、とてもとても書きづらかったです。

早く書くと、字が汚くなる

きれいに書こうとすると、ゆっくりになり、時間がかかる

現代は手書きをする機会が減っていることもあり、手で長い文章を書くのは結構しんどいです。

短時間で書くためのテクニックがないか調べたところ、英語で書く、という方法を見つけました。

実際、「肺」と書くよりも「lung」と筆記体で書くほうが、断然早いです。

「tumor」と書くほうが、「腫瘤(腫瘍)」よりも楽ですね。

(腫瘤と腫瘍は、医学用語的には違いますが、便宜上同じ様に合わせて使っています。
腫瘍の場合、正確には「malignant tumor」が正しいです)

こうして、昔の手書きレポート時代には、英語が普通に使われていました。

この時代に慣れた先生は、パソコンで打つようになっても、ついつい英語を使ってしまっているのではないでしょうか。

読影レポートは、依頼医に伝わらないと意味がない

読影レポートは、依頼医を通して、初めて患者さんに届きます。

ですので、依頼医にわかりやすい様に書く、という大原則があります。

先に挙げた、

「両肺にold inflammatory changeと考えられるcalcified nodulesや索状影を認めますが、明らかなrecurrent tumor、meta、abnormal LN swellingは認めません」

という文章だと、どうしてもすぐに意味が入ってきません。

日本語で、

「両肺に炎症性変化と考えられる石灰化結節や索状影を認めますが、明らかな再発、転移、異常なリンパ節腫大は認めません」

と書いたほうが、理解にかかる時間は短くて済みます。

英語がペラペラに使える医者、留学経験のある医者というのは実際多く居ますが、それでも全体で見れば少数派です。

ましては、日本人の第一言語は日本語です。

自分の書いた文章がきちんと伝わるように、基本的に日本語で書くべきだと思います。

略語はどこまで使うべきか?

略語をどこまで使うのか、は非常に悩ましい問題です。

例えば、SAH(subarachnoid hemorrhage:クモ膜下出血)という略語は、医者であればほぼ通じるでしょう。

けれど、TKA(total knee arthroplasty:人工膝関節置換術)であれば、整形外科以外の医者は、ほぼわからないと思います。

僕たち放射線科医がよく使うLDA(low density area:低吸収域)という言葉も、どこまで通じているのかはやや怪しいところがあります。

結局、他科の先生にも理解される共通単語であれば使用しても良い、という結論です。

さじ加減は難しいですが、個人的にはSAHのような救急に関連する用語はOK、だと考えます。

新臨床研修医制度によって、初期研修医のうちに救急をまわることがほとんどですので、馴染んでいる先生が多いです。

まとめ

以上、読影レポートに英語はどこまで使うべきなのか、という話に対する、僕なりの考えを解説しました。

レポートの向こう側にいる先生を意識して、できれば日本語でなるべくわかりやすいレポートを書かないといけませんね。