読影レポート

主病変以外を読影レポートにどこまで書いたほうが良いのか

『特記所見なし』という言葉を読影レポートに書くこと、もしくはレポートに書かれてることは多いです。

特に遠隔画像診断をしていると、日本全国の放射線科の先生が書いた様々なレポートを見るため、遭遇する機会が多いです。

多いパターンは、主病変はとてもしっかり書いていて、主病変以外のことは『その他、特記所見なし』の一言でまとめているタイプです。

ここで言う特記所見、すなわち『特別に書き記すべき所見』とは一体何を指しているのか、明確な基準、統一的な見解はありません。人によって様々です。

そこで、僕の考える特記したほうが良い所見、つまり主病変以外で画像診断レポートに書いたほうが良い所見、について解説します。

今後症状が出てくる可能性がある所見、は読影レポートに書いたほうが良い

現在症状の原因になっていなくても、将来的に何らかの症状を引き起こす可能性がある所見は、読影レポートに記載したほうが良いです。

具体的には、胆嚢結石や腎結石、結腸憩室などです。

胆嚢結石は落石して総胆管結石となることがありますし、存在するだけで胆石発作を生じ腹痛の原因となることがあります。

腎結石も移動して尿管結石になることがあります。

結腸憩室も炎症による腹痛や出血(血便)の原因になることがあります。

他にも多くありますが、これらの存在をあらかじめレポートに記載しておくことはとても大事です。

例えば右上腹部痛で患者さんが受診した際、以前のレポートを見て胆嚢結石の記載を見つけると、総胆管結石の可能性があるなとすぐに判断でき、素早く腹部エコーを行えます。

この様に将来的に主治医の助けになるため、何か症状の原因になりうる所見は書いたほうが良いです。

経時的に見た方が良い所見、は読影レポートに書いたほうが良い

今回の画像検査だけでは判断できず、経時的にフォローした方が良い病変も、読影レポートに記載したほうが良いです。

肺のGGNや(充実性)結節、膵IPMNなどです。

肺腺がんであれば増大スピードは非常にゆっくりで(数年で数mm程度)、数年間かけて増大の有無を判断していきます。

肺の充実性結節も、6mm以上の病変であれば少なくとも2年間の画像フォローが推奨されています。

胸部CTで偶然見つけた肺結節をフォローする基準日常的に画像診断をしていると、肺結節を偶然見つけることはよくあります。 がん患者さんであれば肺転移をまずは考えますが、偶然見つけた...
胸部CTで偶然見つけた肺結節をフォローする基準:日本CT検診学会偶然見つけた肺結節のフォローをどうするのかは、放射線科医にとっても悩みです。 「経過観察は不要です」と書くべきなのか、 「フ...

膵IPMNも悪性転化や膵癌合併を生じることがあるため、長期的に見ていく必要があります。

このように、長期的な画像フォローを必要とする病変は、レポートに書く必要が。

まとめて、書く

記載の仕方にも注意が必要で、なるべき『まとめて』記載していきます。

例えば結腸憩室も、「上行結腸に5ヶ所、S状結腸に8ヶ所」と細かく書く先生は居ないと思います。「結腸憩室を認めます」で十分です。

同じ様に右腎結石も、「右上極腎杯に1個、右下極腎杯に3個」ではなく、「右腎結石あり」でよいです。

大切なのは病変の存在を記すことなので、細かな解説は不要です。

(主病変であれば、細かな記載はもちろん必要になります。あくまで主病変以外の所見に関してです)

肺の炎症後変化も、もし両肺に索状影や胸膜肥厚があれば、「両肺に陳旧性炎症性変化と考える所見を認める」で十分通じます。

このポイントは、最終的に画像診断報告書の読みやすさにも通じいきます。

読影レポートに書かなくても良い所見とは

個人的には、先に挙げた『今後症状が出てくる可能性がある所見』や『経時的に見た方が良い所見』以外に関しては、書いても書かなくてもどっちでも良いと考えています。

異論はあると思いますが、僕が書かなくても良いと思う所見を一部挙げます。

血管周囲腔の拡張:病的意義はほとんどありません。

動脈硬化:単なる動脈硬化は高齢者にほぼ必発です。腸骨動脈のフルムーン型石灰化ならば書くべきですが。

十二指腸憩室:症例報告では十二指腸憩室炎や十二指腸憩室穿孔がありますが、ほとんど見ません。炎症を示唆する所見がなければ、書かなくても臨床的に問題になることはほぼないです。

肝嚢胞:巨大病変でなければ、書き忘れてもまったく問題にならない所見の代表です。

こうした所見は、読影レポートの見やすさとの兼ね合いで書かなくても良いと考えます。

まとめ

検査目的となる主病変以外に、特別に書き記すべき所見は何か、解説しました。
ポイントは、

今後症状が出てくる可能性がある所見
経時的に見た方が良い所見

は読影レポートに書くようにしましょう。

何かのお役に立てたら幸いです。