読影レポート

読影レポートの文章力を上げるポイント

今日は、読影レポートを上手に書くために意識するポイント、について記事にしました。

「読影レポート(画像診断報告書)には所見だけ書けばいい」
「文章力なんて関係ない」

と言っている先生も中にはいます。

確かに長文・名文を書く必要はありませんが、最終的に依頼医に伝えるためには多少の文章力は必要です。

ポイントは、他の先生のレポートを読んで、たくさんレポートを書いて、見直す、ということです。

欧陽脩の三多(さんた)という考え方

文章上達のための心得として、『三多』という言葉があります。

約1000年前の中国の名文家である、欧陽脩(おうようしゅう)の言葉です。

三多とは、看多(かんた)、做多(さた)、商量多(しょうりょうた)のことで、それぞれ、

看多:多くの文章を読む
做多:多くの文書を書く
商量多:多くの工夫と推敲を行う

という考えを表しています。

読影レポートの文章力を上げるためにも通じることが多く、それぞれ三多になぞらえて解説します。

看多:他の先生が書いた読影レポートをよく読む

他の先生が書いた読影レポートを、たくさん読んでいきます。

特に同じ患者さんの過去のレポートは、必ずチェックします。

「この所見に対して、こんな文章を書くんだ」、と勉強になることが多いです。

いいなと持った表現は、積極的に真似をしていきます。

そのため、専攻医のうちは放射線科医(特に自分よりも上の先生)が多い病院で働く方がよいです。

また、人によってレポートの書き方、言葉の選び方は違うため、できるだけ多くの先生に直して貰うといいです。

この先生が確定するレポートだけ読む、と決めている若手放射線科医の先生もいますが、いろいろな先生の多様な文章に触れたほうが、必ず語彙が増えます。

做多:たくさん読影レポートを書く

たくさん書く、という点から考えると、読影レポートの訓練として大事なのは、「量」と「言語化」ということです。
それぞれ解説していきます。

読影レポートの量

身も蓋もない話ですが、「読影レポートの訓練」という意味では、量をこなさなと話になりません。

量をこなすことで、自分なりの書き方、表現、流れを学んでいきます。

僕もそうでしたが、最初は1件レポートを書くのにもとても時間がかかります。

放射線科1年目のときは、1時間で3件書くのが精一杯でした。

けれど、1日の仕事が8時間(9~18時で昼休み1時間)と考えると、1日24件は読影できます。

それだけの数を毎日こなし、上級医の先生に直されたポイントをチェックする。

最初はこの流れをひたすら繰り返して下さい。

画像所見の言語化

画像所見を言葉でレポートに書くというのは、思った以上に難しいです。

長文を書く必要はないですが、『目で見た画』を『文章で表す』という言語化に苦労すると思います。

特に、人間の身体には隅々まで解剖学的名称があり、画像所見にも山のように専門用語があります。

胸部CTで肺に白い影があったとして、それは「浸潤影」なのか「すりガラス影」なのか。
部位は右肺S2なのか、S3なのか。

適切な解剖学的名称と専門用語を使いこなすのは大変です。

悩むたび、教科書を開いて学んでいきます。

このためにも、他の先生のレポートを読んで語彙を増やすことはとても大事です。

商量多:工夫と推敲

レポートを書き終わったら、自分の書いた文章を一度見直した方が良いです。

上の先生のチェック(二次読影)を受ける前に、「推敲」をします。

推敲する時に注意するポイントは2つあって、書き漏らしと誤字脱字のチェックです。

書き漏らしのチェック

例えば腫瘍など注意力が集中する病変があると、その他の部位に所見を見つけても書き忘れていることは多いです。

自分のレポートを最初から最後まで見直して、記載忘れがないか注意します。

誤字脱字のチェック

若い先生の所見を直していると、漢字の間違いや誤変換はとても多いです。

上級医の先生の時間を取ってしまうので、できるだけ減らしてほしいと思います。

また、放射線科診断専門医の資格を取り、自分ひとりで確定する時がいずれ来ます。

チェックする癖を付けておかないと、自分の誤字脱字がそのままレポートとして流れてしまいます。

誤字脱字があると、依頼医の先生からの信頼は意外と減るので、「癖」として身につけましょう。

誤字脱字を減らすためにも、ATOKなどでは辞書登録を積極的に使い、「工夫」を重ねていきます。

まとめ

読影レポートの文章力を上げるポイントを、欧陽脩の三多になぞらえて解説しました。

大事なのは、看多(他の先生のレポートを読んで)、做多(たくさんレポートを書いて所見を言語化して)、商量多(見直す)ということです。

このポイントを意識して書いていると、必ず速度も上がっていきます。

最初は難しいと思いますが、ぜひ参考にしてみて下さい。