画像診断のコツ

【放射線科医が解説】腹部CTを読影するコツ【研修医向け】

この記事では、『腹部CTを読影するコツ』について解説します。

腹部CTは最も多いCT検査の一つで、日常的に見る機会のある先生が多いと思います。

多くの臓器が写っており、見落としも起きやすいです。

いくつかポイントがあるので、詳しい見方について説明していきます。

【こんな人にオススメの記事です】
・腹部CTを初めて見る
・どんな風に読影していけばいいのか知りたい
・注意したほうがよい点を知りたい
・早く腹部CTを読みたい

腹部CTでわかること

腹部には多くの臓器があります。

肝臓、胆嚢、膵臓、腎臓、腸管など様々です。

X線(レントゲン)や超音波検査(エコー)に比べCTは多くの情報が得られ、また検査時間も入室から退室までで10分程度と比較的短く行えます(待ち時間は除く)。

そのため、腹部臓器が原因と疑われる場合、画像検査が依頼されることが多いです。

腹部臓器のすべての疾患が、CTの適応になるわけではありません。

胃がんや大腸がんなどは、大きくならないと通常のCTで判断することは難しいです。

そのため、詳細情報を得るには内視鏡検査の方が適しています。

腹部CTを読影するテクニック

臓器ごとに見ていく

前の章で挙げたように、腹部CTには数多くの臓器が含まれています。

これらの臓器を1つずつ、読影していきます。

人間が集中して見れる視野は予想以上に狭いため、細かく見ていきます。

痩せている人だと臓器が密集していることが多いですが、その場合も臓器ごとに見ていきます。

CTの濃度(ウインドウ値、ウインドウ幅)を変える

施設ごとに、デフォルトのウインドウ値(Window Leve:WL)、ウインドウ幅(Window Wide:WW)が決まっています。

例えば、胸部CT縦隔条件であればWL 50,WW 350、腹部CTであればWL 60,WW 250といったように。

これは単に部位で決めてあるだけで、臓器ごとに適切なWL,WWは異なります。

デフォルトのまま読影するのではなく、細かくWL,WWを変更して見ていきます。

腹部臓器を順番に読影していく

「縦隔条件の胸部CTを読影するコツ」でも言いましたが、読影する臓器の順番は決めておいたほうが良いです。

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腹部臓器は数が多いため、目についたものから読影していくと、見落とす臓器、書き忘れた所見が出てきてしまいます。

一定の順番で読むクセを付けほうが良いと思います。

僕はいつも、肝臓、胆嚢、膵臓、脾臓、左副腎、左腎、右副腎、右腎、傍大動脈リンパ節、骨盤内臓器、腸間膜、結腸、骨といった順番で読影しています。

どのような順番でも良いですが、決めた順番を守って見ていきます。

腹部CTの読影時に気をつけたほうがよいこと

腹部CTを見る時には、2つのことに気をつけます。

①フリーエアー(free air)
②CTの端

フリーエアー(free air)がないか注意する

特に症状として「腹痛」がある場合は、フリーエアーがないかどうか、積極的に探しに行ったほうが良いです。

消化管に穴が空いたけれど、隣の臓器や腸間膜で覆われて消化管の内容が漏れ出ていない状態(いわゆる「穿通」)であれば、経過観察ですむこともあります。

ただ、消化管内容が漏れ出る穿孔の場合、基本的に手術が選択されます。

腸間膜炎になると、患者さんの生命に関わることがあります。

見落とすと患者さんのQOLに重篤な影響を及ぼすため、特に検査目的に「腹痛」とある場合、チェックしたほうが良いです。

通常の腹部CTの条件では、空気と脂肪はともに黒く見分けが付きません。

必ずWWを広げて(数値を大きくして)、読影します。

肺野条件だとエアーが強調されるため、おすすめです。

腹部CTの端に注意する

腹部CTの頭側には「胸部」が、足側には「鼠径部」がはいっており、男性であれば精嚢も撮影されていることがあります。

必ず端も読影していきます。

特に高齢者であれば、肺癌や肺炎を合併していることは意外とあります。

僕も見落としかけたことが多々あるので、『撮影範囲はすべて見る』という意識を持って下さい。

まとめ

腹部CTは数が多く、放射線科医として、もしくは依頼医として見る機会が多いです。

いくつかのポイントを押さえれば、見落としを減らし、なおかつ早く読影することができます。

ぜひ参考にして下さい。

何かのお役に立てたら嬉しいです。

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