画像診断のコツ

【放射線科医が解説】腹部MRIを読影するコツ【研修医向け】

この記事では、『腹部MRIを読影するコツ』について解説します。

MRIはただでさえシーケンスが多い=送られる画像の種類が多い、です。

特に腹部のEOB-MRIであれば、シーケンスが10種類以上送られてくることもあります。

いったいどの画像から見ればいいのか、初心者にはわかりにくいと思います。

そこで、まずどのシーケンスを見ればよいのかなど、ポイントを解説します。

【こんな人にオススメの記事です】
・腹部MRIをどのシーケンスから見ればいいのか知りたい
・腹部MRIがどの臓器に適応があるのか知りたい
・腹部MRIを見る時に注意したほうがよい点を知りたい

腹部MRIの撮像範囲

「腹部MRI」と表記される場合、そのほとんどは「上腹部MRI」のことです。

具体的には横隔膜から腎下極まで、臓器としては肝臓、胆嚢、膵臓、脾臓、副腎、腎臓、胃、十二指腸、そして一部の小腸や大腸が含まれます。

腹部MRIが適している臓器とは

多くの臓器が画像に入っていますが、MRIが得意な臓器、不得意な臓器は分かれています。

MRIが向いていない臓器としては、胃、十二指腸、小腸、大腸があります。

これらはいずれも内部に空気や水を含み、壁も薄く、MRIで評価することが難しいです。

逆に、MRIが特に向いている臓器としては、胆嚢と膵臓があります。

胆嚢結節はCTでの評価が難しく、超音波(エコー)やMRIが診断の第一選択肢です。

膵臓の嚢胞性病変も、MRIで撮像する「MRCP」という画像が診断にとても有用です。

腹部MRIで特に注意して見たほうがいいシーケンス

腹部MRIでは様々なシーケンスの画像が送られていますが、時間の節約のためにも、おすすめの見る順番があります。

①最初に脂肪抑制T2WI(もしくは通常のT2WI)を見る
②最後にDWI(拡散強調画像)で全体を見る

細かく解説していきます。

最初に脂肪抑制T2WI(もしくは通常のT2WI)を見る

腫瘍であれ、症であれ、多くの病変は元となる臓器よりも『水』を多く含んでいることが多いです。

T2WIでは、水分は高信号(白)になります。

ただ、脂肪もT2WIで高信号となるため、脂肪の信号を抑えた『脂肪抑制T2WI』では、水分の信号がより強調されます。

そのため、『まず脂肪抑制T2WIで臓器全体をざっと見ます』。

もちろん「脂肪抑制T2WIで見えにくい病変」もありますが、最初に当たりをつけることで、時間を短縮することができます。

見つけたら、T1WIなど他のシーケンスも含めて、細かく診断していきます。

最後にDWI(拡散強調画像)で全体を見る

とてもざっくり言うと、『だいたいの病変はDWIで高信号(白)になります』。

これは、腫瘍であれば細胞密度が高いため拡散制限を生じ、炎症であれば水分が多いためです。

そのため、最後にDWIで全体をざっくり見ることで、見落としを減らすことができます。

腹部MRIの読影時に気をつけたほうがよいこと

腹部MRIを見る時に気をつけたほうがよいことは、2つあります。

①乳腺のチェック
②位置決め画像を見る

乳腺のチェック

「腹部CTを読影するコツ」でも書いたように、腹部MRIでも頭側には胸部がすこし写っています。

https://radiolodiary.com/%E3%80%90%E6%94%BE%E5%B0%84%E7%B7%9A%E7%A7%91%E5%8C%BB%E3%81%8C%E8%A7%A3%E8%AA%AC%E3%80%91%E8%85%B9%E9%83%A8ct%E3%82%92%E8%AA%AD%E5%BD%B1%E3%81%99%E3%82%8B%E3%82%B3%E3%83%84%E3%80%90%E7%A0%94%E4%BF%AE/

MRIの場合、空気が多い肺野の評価はとてもむずかしいです。

けれど、検査のため横になり、さらに胸からお腹にかけてコイルを置くと、乳腺の位置が下がり、腹部MRIで写っていることが多いです。

乳癌がないか、意識的に見にいって下さい。

シーケンスとしては、DWIがおすすすめです。

位置決め画像を見る

MRIを撮像する際は、最初に位置決め用の画を撮ります。

メーカーによって名前は異なりますが、「SURVEY」や「Locator」などです。

病院によってはこの画も送っていることがあり、必ず見るようにして下さい。

位置決め画像は、基本的に目的とする撮像範囲よりも広く撮っています。

腹部MRIであっても、頭側は気管分岐部、足側は骨盤内まで入っていることがあります。

細かな診断には適していませんが、肺癌など「何か病変がある」程度の読影はできます。

まとめ

腹部MRIの読影ポイントについて解説しました。

MRIは見る画像(シーケンス)が多く、苦手意識を持っている先生が多いと思います。

何かのお役に立てたら嬉しいです。

貴重なお時間の中、最後まで読んで頂き本当にありがとうございました。

https://radiolodiary.com/%E3%80%90%E6%94%BE%E5%B0%84%E7%B7%9A%E7%A7%91%E5%8C%BB%E3%81%8C%E8%A7%A3%E8%AA%AC%E3%80%91%E8%85%B9%E9%83%A8ct%E3%82%92%E8%AA%AD%E5%BD%B1%E3%81%99%E3%82%8B%E3%82%B3%E3%83%84%E3%80%90%E7%A0%94%E4%BF%AE/