画像診断のコツ

頭部MRIを読影するコツ【若手放射線科医、研修医向け】

この記事では、『頭部MRIを読影するコツ』について解説します。

救急や通常の外来で患者さんに「めまい」「しびれ」といった主訴があった場合、かなりの確率で頭部MRIが検査されます。

最近では、ドックのオプションでMRAと合わせて検査されることも多いです。

検査数が多いということは、見落としが起きやすく、また読影に時間がかかってしまいます。

こうしたルーチンの読影に関しては(脳腫瘍検査などは除きます)、一定の順番でシーケンスを読むことで、時間短縮が可能です。

実際に読影するポイントを説明していきます。

【こんな人にオススメの記事です】
・初めて救急外来を担当する研修医
・あまり頭部MRIを見たことがない若手放射線科医

頭部MRIの範囲

基本的に頭部CTと同じ範囲です。

頭頂部~副鼻腔、上咽頭、頚椎の一部まで撮像されています。

どうしても「脳」に目が行きがちですが、頭蓋外の部位も必ず目を通して下さい。

頭部MRIと頭部CTの違い

頭部MRIは多くのシーケンスが撮像されるため、1つの病変に関して複数の情報を得ることができます。

「病変の質的診断」に関しては、頭部CTよりも一般的に優れています。

また、脳梗塞であればDWI、出血であればT2*WIといったように、特定のシーケンスでわかる病変があります。

想定する疾患によって、頭部CTが良いのか、頭部MRIが良いのかの判断が必要になります。

頭部MRIで日常的に撮像されるシーケンス

DWI

水分子の拡散運動が低下している部位が高信号になります。

脳梗塞(特に超急性期~急性期)の診断に有用です。

ADC

水分子の拡散運動が低下している部位が低信号になります。

DWIと同じ様に感じるかもしれませんが、DWIだけでは本当に拡散制限が起きているのか判断できません。

組織のT2値が延長していると、DWIが高信号になることがあります。

簡単に言うと、「T2WIが高信号であるだけで、DWIが高信号になることがある」ということです(T2 shine throughと言います)。

そのため、ADCが低下しているか確認する必要がります。

T2WI

水分の評価に適していて、「水が多いと高信号」になります。

脳腫瘤は比較的水分を含んでいるものが多く、検出に役立ちます。

FLAIR

「T2WIから水の信号を抑制して作った画像」というイメージです。

脳室周辺や脳表の病変検出に有効です。

T1WI

解剖や異物沈着、出血などの評価に役立ちます。

頭部MRIの読影手順

依頼目的として多い、「頭痛」や「外傷」を想定して説明しています。
「脳腫瘍精査」目的であれば、画像の見方や順番は異なります。

最初にDWIを見る

まずDWIをざっと見て、高信号を探します。

これは、「脳梗塞、腫瘍、膿瘍、炎症いずれもDWIで高信号になることが多い」ためです。

コントラストもあるため、低信号を示す正常脳実質(黒)の中からDWI高信号(白)を見つけることは簡単です。

もし高信号を見つけたら、ADCを見て本当に拡散制限を示してるのか判断します。

2番目にT2WIを見る

次にT2WIを見ます。

FLAIRは陳旧性梗塞や慢性虚血性変化の診断に有用ですが、小脳や脳幹、視床の梗塞は評価しづらいです。

T2WIで小脳、脳幹、視床を読影します。

3番目にFLAIRを見る

FLAIRでは陳旧性梗塞や腫瘤を見つけやすいため、脳全体をくまなく確認します。

最後にT1WIを見る

腫瘍や血腫が無い限り、T1WIから得られる情報はかなり限られます。

例えば、萎縮があるかはわかりやすいですが、その萎縮が特異的なのか全般的な萎縮に伴う変化なのか、視覚で評価することはとても困難です。

僕は、ルーチンではT1WIで基底核領域をチェックするぐらいです。鉄沈着や肝性脳症があると、基底核はT1WIで高信号を示すことがあります。

注意点!脳の辺縁はDWIで高信号を生じやすい

両側側頭葉や前頭葉底部など、空気に近い部位では磁場の不均一性の関係で、DWIでアーチファクトを生じやすいです。

DWI高信号を示す事が多いです。

脳梗塞と間違えないようにしましょう。

まとめ

頭部MRIはシーケンスによって得意な部位、病変が異なるので、適切な順番で読影することで時間を短縮できます。

見落としを減らすためにも、ぜひ参考にして下さい。

貴重な時間の中、最後まで読んで頂き本当にありがとうございました。