画像診断のコツ

縦隔条件の胸部CTを読影するコツ

この記事では、縦隔条件の胸部CTを読影する方法について、解説します。

「肺炎がないか肺野条件はしっかり見るけれど、縦隔条件はあまり見ない、」といった臨床の先生も多いと思います。

けれど、縦隔条件の胸部CTの中にも多くの臓器があり、大切な情報が隠れていることがあります。

放射線科医が実際どのように読影しているのか、解説していきます。

【こんな人にオススメの記事です】
・胸部CTをどんな順番で見ればいいか知りたい
・どんな所に注意すればいいのか知りたい
・早く胸部CTを読みたい

そもそも縦隔条件とはどういう意味?

「肺野条件」という言葉の意味を、他の記事で紹介しました。

https://radiolodiary.com/%E8%82%BA%E9%87%8E%E6%9D%A1%E4%BB%B6%E3%81%AE%E8%83%B8%E9%83%A8ct%E3%82%92%E8%AA%AD%E5%BD%B1%E3%81%99%E3%82%8B%E3%82%B3%E3%83%84/

縦隔条件の画像も同じ様に作られており、CT撮影で得られた生データ(raw data)に専用の関数をかけて(加工して)、縦隔条件のCT画像ができます。

病院によっては、胸部CTで縦隔条件しか送られてこないことがあります。

画像を置くサーバーの容量などの問題などだと思います。

その際は、縦隔条件のCTでwindow level(WL)、window width(WW)を調整することで、肺野条件に似た画像を作ることができます。

おおよそですが、WL -700、WW 1200ぐらいです。

縦隔条件のCTを読影するテクニック

読影する順番をあらかじめ決めておく

縦隔条件の胸部CTを見る時は、どの臓器から見るのか一定の順番を決めておくほうが良いです。

胸部CTは両側の肺野が大きくあって、その周囲に縦隔条件で読影する臓器が存在します。

そのため、視点が左右に行ったり来たりして、目まぐるしく動くことになります。

あらかじめ順番を決めておくことで、目を動かす手間を省き、見落としを防ぐことにも繋がります。

僕が読影する順番ですが,

左腋窩(↓)、左乳腺(↑)、右腋窩(↓)、右乳腺(↑)、甲状腺、前縦隔(↓)、中縦隔(↑)、後縦隔(↓)

といった順番です。

(矢印はスクロールする方向で、↓の場合は頭側から足側に向かって、↑の場合は足側から頭側に向かってスクロールします)

注意したほうが良い重要な臓器

縦隔条件を見る際は、『乳腺と心臓』に注意して下さい。

まず、乳癌は若い女性でも発症します。

早期に発見することで、乳房をすべて切除することなく、残すことが可能です。

乳腺には良性の結節も多く存在しますが、胸部CTで鑑別することはとてもむずかしいです。

感度を上げて、積極的に乳腺エコーやマンモグラフィを勧めたほうが良いと思います。

男性乳癌もありますので、男性でも必ずチェックして下さい。

また、心臓も非常に重要な臓器です。

昔のCTでは心臓はブレブレだったため、詳しく見ることは不可能でした。

ですが、最近のCTは時間分解能が上がったため(早く撮影できるようになった)、心電図同期を行わなくても、意外と心臓が見えます。

必ず目を通すようにして下さい。

胸部CTの上下に注意

胸部CTは「胸部」しか写っていないわけではありません。

頭側には「頚部」が、足側には「腹部」が少しですが入っています。

特に腹部では、膵臓を絶対チェックして下さい。

膵癌は非常に予後の悪い腫瘍です。

確率は低いですが、胸部CTで写っていることも実際あります。

早期発見のためにも、注意して下さい。

肺野条件と縦隔条件のどちらかた読影したほうが良いか

胸部CTで、肺野条件から読影するか、縦隔条件から読影するかといった話があります。

個人的には、「肺野条件」から読影することをおすすめします。

理由は2つあります。

① 注意力があるうちに一番重要な部分を読影する
② 腹部CTに連続して移行できる

注意力があるうちに一番重要な部分を読影する

重要な臓器を最初に見たほうがいいのか、後に見たほうがいいのかは、諸説あります。

僕は、『最も集中できる最初に見たほうがいい』と考えています。

人間の集中力は非常に限られ、どんどんなくなっていきます。

胸部CTの場合、依頼医がもっとも見てほしいのは「肺野」であることが多いです。

そのため、まず最初に肺野を見るようにしています。

腹部CTに連続して移行できる

「胸腹部CT」という検査依頼も、非常に多いです。

その場合、肺野条件の胸部CT、縦隔条件の胸腹部CTと、2つの画像が送られている事が多いです。

そのため、肺野条件→縦隔条件と見ていくと、そのまま腹部CTの読影に移れます。

ちょっとしたことですが、時間の短縮に繋がります。

まとめ

心臓や大血管など、縦隔条件では多くの臓器を見なければなりません。

その中で見落としを減らし、早く読影するコツは以下の通りです。

・一定の順番で見ていく
・特定の臓器(乳腺や心臓)には特に注意する

明日からの読影に役立つと思います。

貴重な時間の中、最後まで読んで頂き本当にありがとうございました。